野菜の青汁がいいとなると、青汁健康法だ。
そしてカロチノイド類がガンなどの生活習慣病を予防すると聞くと、今度は緑黄色野菜一辺倒になる。
いくらニンジンにカロチノイド類が豊富だからといって、それだけですませるわけにはいかない。
ニンジンだけではそもそもカロリーが足りない。
ニンジンはカロチノイド類をとるにはいいが、オールマイティな野菜というわけではない。
それ1種類だけ食べていればもう大丈夫という魔法の野菜など、この世に存在しない。
私が今回の「健康日本21」からイモ類が消えてしまったことを気にしているのは、バランスをとるという意味からだ。
新しい「健康日本21」では、カルシウムの摂取がだいじだと強調されているのだが、そうなると今度は牛乳、牛乳の大合唱になるのではないか。
かつての桐原村の人びとの知恵に学んでバランスのとれた食事をしたいものだ。
私たちの健康や寿命は、毎日くりかえし食べるものに大きく影響される。
たとえば毎日、海に潜って魚介類をとっている海女さんだ。
彼女たちは5分10分と長時間息を止めて水中に潜るという、男でもつらい労働をしているが、同じ海女さんでも、毎日食べているものによって、寿命は大きくちがってくる。
桐原地区を研究したK博士が歩いてまわったところは、北は北海道の利尻島から南は沖縄の八重山群島まで、山村あり漁村ありとじつにさまざまだが、博士は、海女さんの暮らす漁村についてのレポートも残している。
それによれば、同じ海女さんの暮らす村でも、ところによって長寿村もあれば短命村もあるという。
その1つに志摩半島、鳥羽の国崎村がある。
ここは海女の発祥地といわれ、昔から多くの海女が働いてきたところだ。
国崎村はおもしろいところで、博士が調査したころには「男は働いてはならない」という土地柄がまだ色濃く残っていた。
女たちは朝早くから野菜づくりの野良仕事に出て、昼は海に潜り、それが終わると夕方暗くなるまで野良で働く。
そして男たちの食事をつくり、夜はさっさと8時ごろには寝てしまっていたという。
男たちはすることがないものだから、留守番をするか子守をしながら、女房たちが海に潜るのを見ているのだという。
興味深いのは、国崎村の男性の寿命は、女性よりずっと短かったことだ。
女たちはみな元気で、K博士が訪れた当時、国崎村には70歳を超える海女さんが何人もいて、毎日、元気に海に潜っていたそうだ。
この事実に強い関心をもった博士は、海女さんたちに、どんなものを毎日食べているかと聞いた。
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